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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第9章 無茶すぎるお願い


私たちが席に座って少しすると、

「いよぉ〜!シュンイチ!!久しぶりだぜ!!」
「マーックス!おまえはァ!なんだよ刑務所なんぞぶち込まれやがって!おかげでえれー迷惑だぜ!!」
「はーはははは!すまねーすまねー!シュンイチ、お前また縮んだんじゃねぇのか!?」

イベさんと大柄の男性が抱き合って再会を喜んでいる。

「ん?なんだチャーリー、お前もいたのかい。どーした?妙なカオして。」

「…おまえに頼みがあって来たんだ。」







「アッシュ・リンクス?」

私も初めて聞くような話ばかりだった。

ディノの手下も送り込まれているこの刑務所にアッシュは入ることになる。それでこのロボさんに、その手から出来る限りアッシュを守って欲しいと。

「ムチャを言うなよおい!お前だって刑務所がどういうとこか知ってるんだろう!?人のことどころじゃねぇ!自分のことだけで手いっぱいだ!第一あんな荒っぽい連中に、このデリケートな俺が何を出来るってんだ!」

「ムリを承知で頼んでるんだ!!」

チャーリーがその勢いに負けないくらい語気を強めて言った。
その迫力に圧されて、一瞬ロボさんは黙った。

「そんなに重要なことなのか?その小僧が「知ってること」ってのは…」

「わからん…だが、とにかく今は時間を稼ぎたい。相手が相手だしな…なにか手を考えるまで…」
「しかし手といったって…」


なかなかYESと言ってくれないロボさんに何を言えばいいだろうと考えていると

「お願いです…ミスター・ロボ…、彼は僕の命の恩人なんです。僕が一緒に刑務所に入りたいくらいなんだ。アッシュはきっと心細いに違いないと思うんです。どうか、彼の力になってやってください…」

エイジが俯きながらそう言う。彼らがアッシュのことを思い、ここまでしてくれているのに私は何も言葉が出てこない。

…アッシュに会いたい。また声を聞きたい。そう思ったら涙が溢れてくる。

『…ッ……ひぐ…っごめ、んなさい…』

泣いてしまうのは卑怯だ、と分かっているのに止まらない。カチャカチャとサングラスを鳴らしながら涙を拭うと、

「ユウコ、泣かないで」

とエイジに頭を撫でられる。

「おっ、おい……〜〜〜!!!!」

んんーっと声にならない唸り声を出したかと思うと、ロボさんは「限りは尽くす。」と言ってくれた。

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