ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第1章 ケープコッド
どうやって家に帰ったのかわからない。
気付いたら夕食を済ませ風呂に入りベッドにいた。
コンコン
「ユウコ、いいかな?」
パパだ。
返事をすると中に入ってくる。
「ユウコ、帰ってきてからずっと上の空だったね。どうしたんだい?ママもとても心配していたよ。」
『ごめんなさい、パパ』
「違うよ、ユウコ。私は謝ってほしいわけじゃないんだ。アッシュとなにかあったのかい?」
『…私ね、なにがあってもアスランのこと絶対嫌いにならないよ?』
「…ああ。そうだね、ユウコはアッシュのことが大好きだからね。」
パパは私たちになにがあったのかなんて絶対わからないのに、ゆっくり頷きながら話を聞いてくれた。
「ユウコ、明日アッシュと話しておいで。さっき私に話してくれたように。」
『でもアスランは私にもう会いたくないって…』
「…ダイジョウブ、さ」
『ダイジョウブ?』
「おや?ユウコは忘れてしまったのかな?キミと私が出会った日本の言葉でAll rightという意味だよ。」
『ダ…だいじょうぶ…大丈夫』
久しぶりに発する日本語に戸惑いつつも、
しっかりと言葉を、意味を思い出す。
「そうさ、ダイジョウブ!ユウコとアッシュは友達なんだから」
そうパパに言われると、本当に大丈夫な気がしてきた。
私は嬉しくなってパパに抱きつく。
『ありがとうパパ!愛してる!』
「おぉ…ユウコ、私も愛しているよ。今夜は早く眠りなさい。おやすみ、ユウコ。」
そう言って額にキスをするとパパは電気を消して部屋を出ていった。
私はアスランのことを思う。
『大丈夫…私たちは大丈夫。』
遠い生まれ故郷の日本語に勇気をもらい、充実した気持ちで眠りについた。