ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第25章 友よ
アッシュはそれを顔色ひとつ変えずに手元のマシンガンに巻き付け受け止めた。そして、そのままグイと引くと男は勢いに負けてアッシュの方へ引っ張られる。
「!………うわっ!」
勢いを利用したアッシュは男の顎にグリップを叩きつけると、体を踏みつけた。
「かはッ…!」
「10年早いと言ったはずだ!!」
「……俺の飛竜牙をかわしたのはあんたが初めてだ…殺せよ」
「お前にはまだそんな資格はない…失せろ」
「恩を売ったつもりかよ!?そんなこっちゃ騙されねえぞ!」
「…もう一度だけ言う、失せろ!」
「!…わかったよ、悔しいがあんたの方が数段うわ手のようだ…だがショーターの件はいずれきっちりカタをつけさせてもらう!それだけは忘れるな!」
そう吐き捨てると、男は逃げるように去っていった。
「……俺たちも行くぞ」
『………』
私は燃え続ける炎を眺めた。
「サヨナラだ、ショーター…」
『……』
「もうお前を誰の手にも触れさせない」
ポツリポツリとアッシュが呟く。
「俺は…お前を、一生忘れない」
そう言った後、アッシュは私の背中を出入口の方へ押した。
『…っ、ショーター…さようなら…』
私は最後にそう告げて先にこの場を離れた。
それから少しして、何故か再び爆発音がした。
『!?……アッシュ!?』
私が慌てて中を覗くとマシンガンを炎の中へ放り込み、こちらへ歩いてくるアッシュと目が合った。
「行くぞ」
私を追い越して歩いていくアッシュ。
『……っ…』
轟々と勢いを増す炎を振り返りたくなる気持ちをグッと堪えて、私は彼のトレードマークだったサングラスを手にアッシュの背中を追いかけた。