ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第25章 友よ
《アッシュside》
ドカン、ガンガンッ!
「はやくしろー!追っ手がきちまうぞ!」
アレックスの指示で俺の仲間たちはバールや鉄パイプで車をぶち壊していた。
「ひゃ〜こいつもぶっ壊しちゃうのかよお…」
ボーンズが例の車を勿体なさそうに見ている。
「そいつはあとで俺が使う」
「あとでって…?一緒に行かないのか?」
「まだやらなきゃならないことがある。お前の言う通りだ、エイジ。ショーターをあのままにはしておけないもんな」
「連れてってって言ってもどうせダメなんだろ?」
「珍しく聞き分けがいいな」
「キミと同じ気持ちだからだよ、でもどうか気をつけて…もしもキミまで失うようなことになったら僕はきっと、おかしくなっちまう」
「……ユウコ、お前は俺と来てくれ…頼む」
『!……もちろん』
「アレックス…エイジを頼む」
「OK、ボス!バワリーのキャスのところへ?」
「いや、あそこはだめだ。チャイナタウンが近い…“ベアー”おやじの安ホテルがいい」
「おう」
「メインストリートは避けるんだぞ!」
「分かった、あんたらも気をつけてな!」
「俺が戻るまで、こいつを絶対1人にするなよ」
「ああ、分かったよ」
「ボス、ユウコ!気ィつけてな!!」
「早く戻ってきてくれよ!」
「待ってるぜえっ!!」
「ユウコ、行こう」
『…うん』
「アッシュ!ユウコ!!必ず戻ってきてよ!待ってるから…ずっと!」
俺たちは去りゆく車を見つめた。
そして目を合わせひとつ頷き、歩き出す。