ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第25章 友よ
《アッシュside》
部屋を出てすぐ、また銃撃戦になった。ものの数分で何人の人間を殺したのかもはや分からない。殺られる前に殺る、それしかなかった。
「エイジー!」
『エイジ、返事して!……ッアッシュ!!』
振り返ると死に損ないが俺に銃を向けていた。それに気がついたユウコが俺の前に走り込む。
パンッ
『…っ、』
その音と共にユウコの左腕から赤い血飛沫が飛んだ。
「…てめえ!やりやがったな!コノヤロー!!」
俺はそいつに向けて弾丸を撃ち込む。
「大丈夫か!?」
『…大丈夫大丈夫、掠っただけ』
ーー「……アッシュ、アーッシュ!!」
「!」
『アッシュ!今エイジの声!』
「エイジ、どこだあー!!!」
ーー「アッシュ!ここだよ!!」
声のする場所へ向かうと、ドアを叩く音が聞こえた。
「ここか!?ここにいるのか!?」
『エイジ!!』
「ここだよ!アッシュ、ユウコ!!」
「いいか、ベッドの下へ潜り込んで伏せろ!!今鍵をぶっ壊す!」
「分かった!!」
少しの間があいて、エイジの「いいよ」という声がする。俺はドアの鍵付近を撃って、蹴り飛ばした。
中に入ると薄暗い部屋の中から、エイジが飛び出てきた。
「アッシュ!ユウコも!無事だったんだね!!」
「っ!」
勢いよく抱きつくエイジに思わず顔を顰める。思い切り傷に触れられてしまったからだ。
「キミ…ひどいケガを…」
「大したことねえよ、それより加勢が来る前にここを出るぞ」
「……でも、ショーターは…おいていくの?」
『…っ』
「あいつは死んだ!俺が殺したんだ!お前も見ただろ!」
「………ごめん」
俺はベッドのシーツをビッと破く。そして先程撃たれたユウコの腕を掴む。
「…我慢しろよ」
血が流れる傷口に舌を這わせ、じゅっと吸う。
『!…っい、』
プッと血を吐き出して、シーツを巻き付け止血する。
『あ、ありがとう』
「………………行くぞ」
「まって…銃をひとつ貸して、自分の身は自分で守るよ。キミたちの足手まといになりたくない」
「…その必要はない」
「えっ?」
「人殺しは俺1人でたくさんだ、お前は俺が守る。俺のそばから離れるな」
エイジは黒い大きな瞳を見開いた。