ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第25章 友よ
『マシューどうしてまだここに!?ここは危険だよ!』
「…あの場から2人が連れていかれて、俺ずっと心配だったんだよ…それでどこに行ったのか探してた…、気が付いた時にはもうこんな騒ぎになっていて…っ」
「とにかく外は危険だよ、騒動が落ち着くまではここから出ずにあのクローゼットの中に隠れていた方がいい」
「ふ、2人はどうするんだよ…!?こんなに傷だらけなのに…!」
『私たちは、友達を探してるの』
「友達…?」
『うん、黒い髪の日本人で…えっと、』
「日本人…もしかして男の子?」
『そう!どこにいるかわかる?!』
「詳しい部屋は分からないけど、奥の方で“ジャパニーズボーイ”がどうとかって話してる声がして…」
「向こうか…ありがとう、マシュー」
『行こう!』
「まってユウコ!…これ、」
『…あ』
マシューが手渡してきたのは、ネックレスの袋に入っていたアッシュからのメッセージカードだった。
「宝物だと思って」
『…ありがとう、すごく嬉しい』
「あともうひとつ、」
マシューは私の手のひらに何か小さなものを握らせて、両手でキュッと包み込んだ。
『…なに?』
「これは俺からのプレゼント。いつか、ここぞという時に使ってね」
『……ありがとう、マシュー』
「次いつ会えるか分からないけれど…2人とも、きっと元気でいてね」
「…ああ、じゃあまた。あんたも元気で」
『またね』
マシューにハグをして、メッセージカードとプレゼントを私は胸元に差し込んだ。
部屋を出た私たちはマシューの言っていた方向へ駆け出した。