ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第25章 友よ
どこの角を曲がっても銃を構えたヤツらがいる。その度に私は銃を狙い、アッシュは命を奪った。血と硝煙の匂いに鼻は麻痺して、耳はほうぼうに響く弾丸の音でもはや自分の心臓の鼓動とアッシュの息遣いしか聞き取れない。
ドドドドというアッシュのマシンガンが体に響く。
「っく…山猫の番め…!」
「!…あいつ」
アッシュがある男を見かけて駆け出した。
慎重に様子を見つつ階段を登り、たどり着いたのは複数並ぶドアの前だった。
ドアの横に背中をつけて様子を伺う。動くなと私にハンドサインを送ると、アッシュはそっとドアノブを下げた。
すると、
「死ねェ!小僧!!」
中から数発の銃撃を受けドアに穴が空く。その穴から弾丸を撃ち込むと部屋の奥が勢いよく爆発した。
中に入ると、複数の男が息も絶え絶えに倒れている。
「よォ、また会ったな」
「…ッ…お前の姫…も、犯して…やろうか?」
「オッサンが言ってたぜ、脳天に鉛玉ぶち込んでやるってな」
ドギュン
眉間を正確に撃ち抜かれた男は一切動かなくなった。しばらくその男を睨みつけるアッシュ。
『アッシュ…?』
「……いくぞ」
おそらくエイジは多くの部屋が並ぶこのフロアのどこかにいるはずで、私たちは声を上げて彼を呼び続けた。
「…ハァ、ハァ……エイジーッ!!」
『エイジー!…はぁ…っ』
その時ガチャ…と、あるドアが遠慮がちに開かれた。私が急いで銃を構えるもアッシュは私の盾になるかのように前に立ちはだかりライフルを構える。
その中から怯えたように顔を出したのは、
「ッ…マシュー!?」
「…っあ…やっぱり…2人だった…っうぅ」
泣き出すマシューに私たちは顔を見合わせてその部屋の中に入った。