ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第25章 友よ
入口の脇にある電子キーに暗証番号をいれると、ピーっと音を立てて扉が開いた。
「…ここは、武器庫か!?」
ロボさんが驚いたように声を上げる。
それもそうか、ここには想像を超える数の武器が揃ってる。ピストルやライフルはもちろん、ショットガンにマシンガンに手榴弾まで数多くずらりと並んでいるから。
「みんな密輸品さ…オッサン、銃は扱えるな?」
「イラク帰還兵に言うセリフかよ?」
「そのセリフ忘れんなよ」
アッシュはニヤッと笑いながらそう言った。
タクティカルベストを纏ったアッシュは、様々な武器を各ポケットに詰め込んだ。
私は何を持つべきか考えていると、ロングマガジンを装着した銃を差し出された。
「…いいか、お前は手元だけを狙って撃て」
『でも』
「返事」
『っ…わかった』
「その隠した銃は出すなよ」
『!』
アッシュは私がレッグホルスターを着けていることに気が付いていたんだ。ずっとドレスの下に忍ばせていたそれに。
「間違っても殺すな、それは俺の役目だ」
『……』
うん、と言わない私にアッシュはポンと頭に手を置いた。
それから各々最低限武器のチェックを行い集まる。
「…俺たちが引き付けてる間に、お前らは庭から逃げろ」
「2人は?」
「…エイジを助ける」
「っ!お、俺も…俺たちも連れてってくれ!」
「よしてくれ!俺はエイジにお前らなんて3人も面倒はみられない!」
「…よしわかった。シュンイチ…エイジは2人に任せよう」
「……」
『イベさん、大丈夫。きっとまた会えるから』
「ああ、すまない…」
「早く行くぞ、……5分にセットした」
「派手なパーティだなあ」
時限爆弾を滑らせて、私たちは武器庫を後にした。
「死ぬなよ、お前ら」
言葉を交わさず、私たちは目で答えた。
駆けていく2人の足音を聞きながら深く息を吸った。
1歩間違えば死ぬかもしれない。
その緊張感の中でも、アッシュが隣にいてくれるという事実に強く勇気づけられる。私をロボさんたちと行かせなかったということは、必要としてくれているということ。
私、役に立ちたいよアッシュ
立ってみせるよ、きっと…絶対。
強い覚悟でアッシュを見ると、アッシュもまた私を見ていた。目を合わせて、どちらともなく頷く。
エイジ、待っててね。
…今行くよ。