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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第9章 無茶すぎるお願い


私はあれから事情聴取を受けた。
色々聞かれたけど、私自身も分かっていないことが多すぎて何も話せなかった。

女性の警察官はショーターが着せてくれた服を脱がし、その下のボロボロになった服を見て、性的暴行を受けたのではないかと心配してくれたが、その事実はないと伝えると「怖かったわね」と言いながら抱き締めてくれた。

その後、ひと通り話が終わると私たちは解放された。

『ショーター、ありがとね』
「…ッハ、良いってことよ。」

外に出てスマホに目をやると、知らない番号からたくさんの着信が入っていたことに気付く。

『…え、なんだろ…?』
「ん?どうした…うわァ随分掛けてきてんな…誰だ?ストーカーか?」
『ちょっと掛けてみるね』
「いや、貸せよ。俺が掛ける。」


そう言ってショーターは私のスマホを手にすると折り返しの電話を掛けた。

「あぁ、ユウコか?今どこにいる?」
「……え?何?あんたどのオッサン?」
「その声…、ショーターか?俺だよ、チャーリー」
「あっ、そっちのオッサンか!」
「他にどのオッサンがいるんだ!…ってまあそんなことはどうでもいいんだ。ユウコは?」

私はショーターの反応から知り合いだったらしいことを察した。背の高いショーターの耳元に近付こうとピョンピョンとジャンプした。


チラッと私に目をやると

「…跳ねてる」
「はっ!?」

『ねえ、誰!?そっちのオッサンってどのオッサン!?』

「…聴こえてるぞ。」
「ハハハ…代わるよ」

そう言って私にスマホを手渡した。

『Hello?』
「ああ、ユウコ!チャーリーだよ。」
『チャーリーかぁ!!』

前におとり捜査に協力した際、連絡先を教えていたのを思い出した。

「そっちはどうしてる?どこにいるんだ?」
『今、話が終わって外に出てきたよ!そっちは?アッシュはどうしてる?』
「…あぁ、そのことなんだが…ちょっとまずいことになっててね。今とりあえず、事情聴取が終わってアッシュの傷の手当をね。」

『まずいこと…?アッシュはそこにいるの?代われる?』
「…いや、それは出来ない。とりあえずキミは彼の無罪を証明する為にも今は会わない方が良いだろう。」

『無罪…って、アッシュ何したの?』
「心配だろうけど、俺たちも全力を尽くすから待っててくれ。また電話する、そうだな…1時間後くらいに。」
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