ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第24章 あの頃のキミへ
『えっと…見てもいい?』
「…ああ」
私は袋を覗いた。
するとそこにはアクセサリーケースのような小さな箱が入っていた。そしてその上に乗る四角いカード。そのカードを取り出し、折りたたまれたそれを開く。
『…………!』
ーー親愛なるユウコ
お誕生日おめでとう!
来年も、そのまた来年もずっとずっと
きみの誕生日を一緒に祝いたいな。
僕はきみの笑顔が大好きだよ。
愛をこめて, アスランより.ーー
これ、アッシュの字だ。
「ば…っ、読むなよ!」
『……これ、』
「それはいいんだよ…、こっち開けろって」
こっち、と慌てたように身を乗り出してアッシュが指をさした箱を取り出し、私はそれをパカッと開いた。
『っ!………わあ、』
そこに入っていたのは、ハートの中にキラキラ輝く石のついたネックレスだった。繊細な作りのペンダントトップに目を奪われて、私は色々な角度からそれを眺めた。そこで、疑問が頭を巡る。
このメッセージカードはいつ書かれたものなんだろう?それとこの誕生日っていつの?アッシュからのプレゼントってどういうこと?
これ、アッシュが選んでくれたの?
私のために…?
『………』
「なに難しい顔してるんだよ、好みじゃなかった?」
『えっ?ううん!すごく可愛くてとっても素敵!…だけど、』
「だけど、なに?」
『…これは、その…私がもらっていいの?』
「他に誰がいるんだよ?」
『え……ほ、本当に?』
突然のことで驚いてしまったのと胸がいっぱいで、何も言葉になってくれない。でもやっぱりとても嬉しくて、私はギュッとネックレスの入った箱を抱きしめた。そして、傍にいたマシューに目を向ける。
「アッシュからのプレゼントがあるって聞いてたからね、今回は首周りのアクセサリーは選んでなかったんだ。良かったね、ユウコ」
『…うん!』
「ほら、貸してみろよ」
そう言われネックレスを手渡すとアッシュは私の背後に回った。そして、アッシュの手が顔の前を通ってすぐに首にチェーンが触れる。
アッシュが着けてくれるんだ…。
『……っ』
思いもしなかったシチュエーションに胸がドキドキする。
最後に髪に触れると、彼の手が肩にポンと乗った。