ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第22章 不仕合せのlove bite
《英二side》
与えられた部屋で窓から見える景色をただ眺めていた。
ショーターはどうしてるかな…まさかあんなの、嘘だよな?バナナフィッシュを投与なんて、そんなこと…。
僕を殺せと命じられたショーターの叫び声が脳裏にこびりついて離れない。
殺せって…殺されるって…
そんな、なんだよ……意味がわからないよ…。
すると、ノックが聞こえてドアを開ける。
スーツを着た男が「来い」というので、僕は着いていった。
その部屋に入ると、ユーシスがバスローブを羽織り奥のドアから出てきたところだった。
「…っわ、ごめん…」
女性の風呂上がりを覗いてしまったような気になって、僕は咄嗟に謝った。
「…べつに、何故キミが謝るのさ」
「なんとなく…、僕を呼んだのはユーシスなの?」
「違うよ。僕も呼ばれたんだ」
「……へ?」
「シャワー、浴びておいた方がいいよ」
「何故?」
「何故って…それがマナーだろう?」
「……」
「…ああ、まさか。キミはここに呼ばれた理由がわからないのかい?」
なんだかチクチクと棘の刺さるような言い方だな。
「キミはこれからゴルツィネの玩具になるのさ、もちろん僕もね」
「玩具…?」
「…寝るんだよ、彼と」
「寝る!?…寝るって、その」
「“セックス”って言わないとわからない?」
「えっ!?」
「……はあ、キミと話していると疲れるな」
そんなことって…まさか冗談だろ?
ピッピッピッピッと電子音がして、ガチャとドアが開いた。
まさか、と目を向けるとそこには案の定ゴルツィネがいた。
ユーシスはゴルツィネにぴたりと寄り添う。
「…早速呼んでいただけるなんて僕嬉しいな、ありがとうございます」
「…おお、よしよし」