ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第22章 不仕合せのlove bite
「…顔、見せてくれよ…っ」
『………』
「…なあ!ほら!こっち見ろよ!」
言葉に合わせてガツンガツンと激しく突かれる。
奥に当たる、痛い。
腕をおさえつけられ、ベッドに縫い止められる。
顔を隠せず、それでも顔を背け目を瞑った。
「…目を開けろよ、早く」
『……っ』
意地でも開けてやるもんか。
「お前みたいな気の強い女は好みだが、セックスの時までこう素直じゃない強情な女はいただけねえな。…まあいい、お前はもうこのまま俺のものになるんだから」
その時、首筋を舐めてそのまま吸い上げられた。
『!』
その行為に全身が強い拒否反応を起こす。
『やめて!!』
私はオーサーの胸を押し、吸われた部分を手で抑える。
「ッ……ほう?どうした、急に」
口の端をニィと上げて興奮したように舌なめずりをする。
『やだ、お願い…跡をつけないで』
「跡をつけないでっていうのは何故だ?アイツに見られたくないからか?」
『…ッ……お願い』
「…っふ」
オーサーは笑いながら、首筋、鎖骨、胸に何度も何度も吸い付き、跡をつけていく
『…いや…っ』
「お前の白い肌に真っ赤な華がいくつも咲いたぜ、綺麗なもんだな」
『…やだ…ぁ、やめて』
自分の反応が相手を悦ばせてしまうものだということはわかるのに、どうしても黙ることができない。
嫌だ、やめて!
私は声の限り叫ぶ。
たすけて
たすけて…
『………アッ…シュ…っ』
「!…その名前を口にするな!!」
口を手で塞がれる。
「その目でよく見てみろ!お前に突っ込んでるのはこの俺だ!アイツじゃない!…くそが!」
『…っあ、ぅ…!』
先程までより更に激しく、ガンガンと奥まで突き揺さぶられる。
まるで怒りをぶつけられているかのようだ。
「なあ、俺を見ろ、お前は俺のものだ…!ユウコ愛してる…」
愛してるだって…?
愛はこんなに乱暴なものじゃないはずでしょ?
愛を貰ったことはないけれど、
私の中の愛はこんなに……
『…っ…う、…ぅ』
突然涙が溢れて止まらなくなった。
私はまた、穢れを重ねてしまう。
またひとつ、
アッシュに選んでもらえない理由だけが増えていく。