ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第22章 不仕合せのlove bite
「どうした、ため息なんてついて」
『……』
オーサーだ。
「何してたんだ、こんなとこで」
『…待ってた』
「何を?」
『……アッシュのこと』
「っ…なんでだよ、なんでアイツなんだ!」
『なんでって…そんなの、』
「アイツはお前のことなんざなんとも思っちゃいねえ!」
『…わかってるよ』
「お前のピンチに現れることもねえしな」
『そんなことない、今までに数え切れないほど助けてもらったよ』
「俺は知ってるぜ?お前とアッシュがパパ・ディノの元で何をさせられてたか」
『!?』
「あいつが変態共の前で、泣きじゃくるお前を犯しまくったってこともな」
『!…ち…がうよ、あれはパパの命令で仕方なく』
「いいや、違わねえ。あいつもただの獣ってことさ。助けるどころかあいつが1番お前を傷付けた」
『ちがうってば…!ねえ、勝手なこと言わないでよ!私が傷付けたの!たくさん!アッシュのこと…だから』
「嫌がるお前に腰を打ち付けて、傷つきましたってか?…っくくく、笑わせてくれるぜ!」
『一緒にしないで…』
「あ?」
『アッシュを、あんたみたいな人と一緒にしないで!』
「……そりゃどういう意味だ?」
『アッシュは嫌がる私を抱きしめたりしないし、アッシュは嫌がる私に無理やりキスなんかしない!』
「………」
『私は嫌じゃなかった、アッシュとの全部、全部……だって私は、ずっと…アッシュのことが』
私がそこまで言いかけた時、オーサーは物凄い剣幕と力で私の腕を引っ張った。
『…っ、痛い!やだ、離してよ』
「…………」
『ねえ!…オーサー、嫌だってば!』
何も言わないオーサーは、ズルズルと私を引きずりながらとある部屋へ乱暴に押し込んだ。