ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第21章 New York
《アッシュside》
「そら、着いたぞ!さっさと降りろ」
外に出ると、夕焼けで辺りは真っ赤だった。
「ひぇー、すっげえな…空輸会社どころか専用の空港まで持ってんのか」
「日本とはスケールが違うなあ…」
「李家は華僑一と呼ばれるほどの大財閥だからな…もしかしたらアメリカや日本より金持ちかもしれんぜ」
「いずれにせよ、まともな商売してたんじゃあここまでにはなれねえだろうな」
「無駄口を叩くな!早く乗れ!」
「おっほー…ロールス・ロイスだぜ、おい」
「“シルバー・シャドウ”だ…」
俺はその車をじっと眺めた。
「…タコぼうずの車だ」
俺がそうつぶやくと
「違うだろう、小僧。これはお前の車だ」
「えっ!?アッシュの!?」
「ナンバーはアッシュの“A”と、10歳から11歳の時にお前ら山猫の番を引き取ったから“1011”って話じゃねえか…これはお前の16歳のバースデーにミスター・ゴルツィネから贈られたものだろう?」
「…俺は受け取ったおぼえはねえ」
「イヤでも受け取ることになるのさ…これはお前ら山猫の番の棺だ。ずいぶん高級な棺桶だな」
「入るとしたら、それは俺だけで十分さ」
「けっ…姫想いだこと」