ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第21章 New York
《ショーターside》
無駄にロックが厳重な椅子に座らされ、手足の自由が奪われた。数人の男共があれにこれにとせっせと動いている。…いったい何が始まるんだ?
度々俺の前を通り過ぎる男に俺は見覚えがあった。
「…お前のツラは見覚えがあるな」
「っ…」
「グリフィンを撃ち殺した…」
「あれは僕のせいじゃない!」
「アッシュにそう言ってみるんだな…お前が殺したグリフィンの弟に」
「!」
「ヤツはもうすぐここへ来る。アッシュは決してお前を許さねえ…ヤツは俺のような腑抜けとは違う。必ず生き抜いてお前を滅ぼすだろうぜ」
「だまれ!そんなヤツに何が出来るものか!」
「何を騒いでいる!準備は出来たのか」
見上げると、そこにはタコぼうずとオーサーがいた。
「ああ、今度こそ“あれ”を作り上げてみせる」
「“あれ”ってのは、バナナフィッシュのことか?これだけ設備をかけて出来損ないのドラッグしか作れねえなんてな!」
「出来損ないかどうかは…お前が教えてくれる」
「!…なに!?俺を実験台にするつもりなのか!?」
「ショーター!」
聞こえたのはエイジの声だった。
どうしてここにあいつが?
「エイジ!」
「では、始めてくれ」
「ちくしょう!…化けて出てやるぞ!!」
「やめろ!やめろったら!!やめろー!!!!!」
注射器が俺に刺さり、ものの数秒後
「!!」
ドクン、と体の中で何かが暴れだした。
エイジ……エイ、ジ………
ユウコ、アッシュ…………
すまない、俺は……俺は…………
そこからの俺は、
もう俺ではなくなった。