ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第20章 Los Angeles
「「『…………』」」
私たちは息を飲んで目の前に現れたその人を、
ユーシスさんを見つめていた。
「お待たせしました。…では参りましょうか」
王龍がそう促す。
「誰なんだこの女は…ロスから一緒だったが」
オーサーがそう言った。
女…、確かにユーシスさんはそう見間違うくらい綺麗だ。
今の着飾った彼は、とくに。
「女ではありません、これは私の末の弟。訳あってお供させていただきます」
『………』
ユーシスさんを見ると目が合った。
先程は逸らされてしまったのに、今度はゆっくりとした美しい笑みを浮かべられる。
ドキッとするほどの眼差しに今度は私が目を逸らした。
オーサーに「行くぞ」と声をかけられ、私たちは先に部屋の外に出た。
ーーーーーー
「ユーシス…何がおかしい?」
「別に」
「ふん、おかしなやつだな、人身御供に差し出されるというのに」
「…兄さんたちに逆らっても無駄だということはよくわかっているよ」
「何をいまさら」
逃げることが出来ないのなら、
共に滅びるまでさ…
忘れはしない
母を殺したお前たちを
必ず破滅させてやる…。
お前たちが蔑み、卑しんできたこの僕が…!