ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第20章 Los Angeles
『!?…ショ、ショーター!』
「こいつから引き離そうってんなら今すぐ喉をかき切るぜ!」
「…なにィ?」
「もちろん俺もあとを追う…ひとりじゃあ逝かせられないからな」
『ショーター…』
「大事な手みやげを死なせたら、お前の立場もなくなるぜ」
「…あははははははっ!」
突然、場違いな笑い声が響く。
「よさないかユーシス、無礼だぞ」
「ごめんなさい…っ、だって…」
「おかしけりゃ笑えよ!俺だって自分のしてることが馬鹿げてることくらい承知の上さ!さあどうする!?オーサー!!」
そのやり取りを見ていた華龍は、立ち上がりオーサーに近づいた。
「…やれやれ。彼は本気だ、ここは私に免じて彼の意地を通させてやっていただけないだろうか。いかがです?ミスター・オーサー」
「……」
「兄とミスター・ゴルツィネには私から事情を説明しましょう」
「…チッ、いくぞ!」
舌打ちをしたオーサーは、私の肩に腕を回し歩き始めた。
「車椅子を」
「さわんな!…ンなもんいらねえ」