ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第20章 Los Angeles
「ご所望なのは黒い瞳の日本ネコ、だそうだ。こいつの写真を見てひと目でお気に召したらしい…すぐコレクションに加えたいとおおせだ」
「…オーサー、きさま」
「アッシュが知ったらさぞ苦しむだろう!自分のために巻き添えをくって、命の恩人が昔の自分と同じ地獄に堕ちるんだからな!…そうなったとき、俺がヤツに勝てないかどうかとくと見てもらおうじゃないか……おい、ユウコ」
オーサーは私を呼び指をクイッと曲げ、来いと言った。
『………』
「早くしろ」
私が動かずにいると、オーサーは私に近付き力強く腕を引っ張った。
『…いっ、』
そして、そのままグッと腕の中に閉じ込められる
『!…な、』
「…前に会った時に捕まえて、無理やりにでも連れてくればよかったとずっと後悔していたんだ。肝心なとこで邪魔されてばっかりだったからな」
「…おいオーサー、てめぇ!離しやがれ!」
「あ?お前にゃ関係ねえだろ。なあ、お前…俺の女になる気になったか?」
『………』
「俺はもう昔の俺とは違う、今の俺はアイツに負けねえくらいの力があるんだ…だからそろそろ俺のものになってくれよ」
『っ…オーサー、離して…』
「……っはは!お前、女を口説くのに権力なんかチラつかせんのか?クソだせぇ!…例えほかの女がそれで靡いても、そいつはあのアッシュ・リンクスと生きてきた女だぜ?だからお前はアッシュに敵わないって言ってンだ」
「っるせえな!お前が意地でもその気にならないっていうなら…もういい。ちゃんと手に入れたいと思っていたが……」
オーサーは私の顔を掴み、乱暴に口付けた。
『…っん?!…ンんん……!』
「オーサー!!」
「…おやおや」
「………」
「ん…っは………チッ」
頑なに口を開けない私に舌打ちをすると、
「…強情な女だな、ますます好みだぜ。こうなったら…この口に無理やりにでも、俺の女になりたいと言わせてやる…覚えとけよ」
『……っ』
「グズグズしてる暇はねえんだ、ほらさっさとそいつを渡せ」
その言葉に入口に控えていた男たちがぞろぞろとショーターを囲む。
「…っ!」
ショーターは自分の足に仕込んでいたナイフを取り出し、エイジの首に突きつけた。