第20章 Los Angeles

座るように促され、私たちはそれぞれソファに座った。


｢…ご苦労だった月龍、ショーター・ウォン。きみの働きは兄によく伝えておこう。きみの将来は我々に任せてくれたまえ｣

｢カン違いしないでくれ、俺はエイジの傍を離れる気はねえ。もちろんあんたたちの傘下に下る気もな！｣

｢ほう？｣

｢彼はね、良心の呵責に悩まされているらしいよ…親友を裏切った、ってね。その子の傍にいて守るつもりらしい｣

｢ふん…そちらはユウコと言ったかね｣

『………』

｢ふっ、その美しい顔で睨まれるのは悪くないな。手酷いことをしてやりたくなる｣

『……っ』

｢ははは…冗談さ。中国、日本…我々に流れる血は近い、仲良くしようじゃないか｣


ユーシスさんを見ると、彼は眉をひそめて私を見ていた。そして目が合うと、慌てたように視線を逸らした。



ゴンゴンゴンゴン


ドアが叩かれた。


｢…客人が見えたようだ｣


ドアを背にする私の位置からは見えない。
客人が誰か…振り返る勇気がなかった。


｢…っ！｣

ショーターが立ち上がり驚いた顔をした。


｢オーサー…！｣


『！？』


その名前を聞いて、ついに私も振り返る。


うそ…っ



｢…よォ、久しぶりだな｣


オーサーはその目に私をしっかりと捉え、ゆっくりとそう言った。


『…なん、で…』

｢きさま…！とうとうイヌに成り下がったってわけか！｣

｢言葉に気をつけろ、俺はもうお前らのようなチンピラじゃあない。これでもシマひとつ任されてる身だぜ？｣

｢だからイヌだと言ったのさ！あのタコぼうずの足の指を舐めてお仲間にしてもらったんだろうが！…だからみんなはアッシュを選んだ、お前よりもな！｣

｢何…？｣

｢銃の腕より何より、ヤツにはお前が束になってかかっても敵わないもんがある…お前は永遠にアッシュには勝てない。いつかそのことを身をもって知ることになるだろうぜ！｣

｢…随分と威勢がいいな、まあいい…飛行機の準備ができたようだ。そいつを渡せ｣

｢断る！…俺も一緒に連れて行ってもらうぜ、こいつの傍から離れる訳にはいかねえ！｣

｢…悪いが、パパ・ディノはお前のような育ちの悪いノラネコには興味がないそうだ｣


｢？！｣


パパ・ディノ…、
まさかオーサーは、エイジをディノに…！？