ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第20章 Los Angeles
「…どこへ行くんだ」
「空港さ。今頃はゴルツィネの使いの者も到着しているはずだよ。専用機で東海岸までひとっとびさ」
……ディノ…。
あれからどれ程の時間が経ったか…。
どれだけ経とうが、ディノの元での傷は癒えることはない。
アッシュはまだジェシカのところにいるかな
早く気付いて…こっちも大変なことになってるよ
すぐ右隣にユーシスさんがいるからメールは打てない。なんとかスマホを見ずに連絡をとる方法は………
『……っ!』
ふと、私は自分のスマホに設定したある機能を思い出した。
成功するかはわからない。それにバレた時のリスクはあるけれど、でもやるならきっと今このタイミングしかない。
私はギュッと目を瞑った。
そして、手をポケットのスマホへ滑り込ませた。
『(エイジ…大丈夫?)』
「…なに?どこの言葉?」
『…日本語。エイジが可哀想で…せめて日本語で話しかけてあげたくて』
「ふうん…そう」
『(エイジ、大丈夫…私たちまた日常に戻れるよ)』
そこでスマホのホームボタンを長押しする
よし…今だ。
『(…“アスランに電話”)』