ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第8章 止まらない涙
《英二side》
腕の手当を受けて、部屋のベッドに寝ていた。
出血は酷かったものの、逆に言えばそれだけで体は元気だ。
アッシュやユウコはどうしてるだろう…。
天井を眺めていると、チャーリーの声が聞こえた。ベッドを出て、ドアに近付く。
「アッシュのことで頼みたいことがあるんだ、ぜひ英二の力を借りたい。」
アッシュのことで僕に、だって?
「アッシュがどうかしたんですか?」
僕はガチャとドアを開け、部屋の外に出る。そこにはチャーリーと伊部さんがいた。ソファに促されたので座る
「英二、アッシュは今無謀な賭けをしようとしている。彼に殺人罪の濡れ衣をきせスキップを殺した地下組織のボスにたった1枚の切り札を武器に歯向かうつもりなんだ」
「そんな…」
「そうだ…ヤツに万にひとつも勝ち目はない…ヤツは間違いなく殺されるだろう。それは確実にだ…!」
「…その“切り札”ってのは?」
「それが具体的にはよくわからないんだ…だがディノはーーあぁ、マービンのボスの名前だが、執拗にアッシュを狙っている。アッシュはディノにとって重要な何かを握ってる可能性があるんだ。…もしかしたらアッシュ自身分かってないのかもしれん。ヘタをすればただのカスになるかもしれないカードでヤツは勝負しようとしている。」
「でもなぜ僕が?僕は…何もできない。」
「アッシュがきみを助けたからだ。」
「え?」
「理由はわからない…でもアッシュはきみを助けた。自分やユウコ、スキップの命を危険に晒して、それでもきみを助けようとした。きみになら…もしかしたらきみの言うことならアッシュは耳を傾けるかもしれない。残念だが…アッシュは俺たちも信用してはくれない…そうさせちまったのは俺たちなんだ……あのドちくしょうめ!」
チャーリーは突然今までよりも深く深刻そうな顔をした
「なにかあったのか?」
「キディポルノ、って…知ってるか?」
「…あ」
「ああ…知ってる…でもまさか…」
「マービンは子どもを食い物にする文字どおりのブタヤロウだったのさ!…アッシュもユウコも、幼い頃…ヤツに…」
なんだって…?
「……」
僕らは言葉を失った。