ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第20章 Los Angeles
《ショーターside》
カチャカチャと銃の弾を確認するアッシュ。
マックスは受け取った猟銃を抱え、グッと下唇を噛み締めている。
「…お前たちはここにいろ」
「しかし…」
「これは俺の専門だ。従ってもらうぜ、イベさん」
「……」
「ショーター」
アッシュは俺の元に寄り、誰からも死角になるように小さな声で話す。
「お前はここに残ってくれ」
「え…なんでだよ!」
「どうも様子がおかしい…俺たちを本気でおびき出すつもりなら、人質を別の場所に移してから罠をしかけてくるはずだ。ここを手薄にさせて俺たちの輪の1番弱いところをつくつもりならエイジ、イベ…あの2人が危ない…だからここに残ってヤツらを守ってくれ」
「ユウコは連れてくんだな?」
「…あいつもここに残す」
「……え?」
「向こうは確実に戦闘になる…そうと分かっていながら連れていけるわけがない」
「っ…だめだ!連れてけ!」
ユウコをここに残せば、月龍はきっと利用しようとする。それもきっと汚ねえ方法で…!
「………おいユウコ」
『なに、アッシュ?』
「お前はショーターたちとここに残れ」
「おい!」
『…え?私も一緒に行くよ!』
そうだ、アッシュ!こいつも連れていけ!頼む、そうしてくれ…こいつの目に見られる中、俺はお前たちを裏切るなんて……
「…だめだ」
「アッシュ!」
「いいかユウコ、銃はお前が撃たれそうになるまで出すなよ」
『え?』
「お前が銃を扱えること、敵に知られないほうがいい」
『わかった…』
「じゃあ、頼んだぞ」
アッシュは俺たちに背を向けドアに歩き出した。
「アッシュ!」
「…ん?」
「……………っ、」
言え、言うなら今だ、今ならまだ…
その時、俺の真後ろで月龍が咳払いをした。
「っ!!」
「おい、なんだよショーター?」
「……気を、つけてな」
「…ああ」
アッシュはそう言って一瞬ユウコに目をやると、バタンとドアを閉め行ってしまった。
「…クソ、やつらどこまで汚い真似を!」
「2人からの連絡を待つしかないんですか…?」
「とにかく戸締まりだ…英ちゃんとユウコ、2階を頼むよ」
『…はい』