ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第20章 Los Angeles
《アッシュside》
「〜〜!!」
喉が焼けるようだ。
…美味くねえ。
ふと気配を感じて入口を見ると、ユウコが立っていた。そして俺の手の酒瓶を奪った。
こんなヤケ酒なんてやめろとでも……
「…っ!?」
『〜〜〜!!!』
ユウコは奪った酒瓶を俺がしたのと同じように口にした。
「バ、バカヤロー!」
『うぅ゛〜…キツい』
「当たり前だろ、何してんだよバカ!」
『うぇ…そんな、バカバカ言わないでよ』
「………」
そういえばお前は昔からこういうやつだった。俺に苦しいことがあると自分も同じ目に遭おうとする。…俺の心の痛みを分かち合おうとする。
「ほんと……バカだな」
半分無意識に頭を撫でると、こいつは真っ赤な顔をして俺を見上げた。
その、やけに色っぽい表情に俺の喉が鳴る。
「……っうお!?あ、悪ィ!!邪魔した!?」
俺たちの様子を見たマックスは引き返そうと身を翻した。
「……ちげえよ、そんなんじゃない」
「あ、そう?」
『………』
「え?やっぱり邪魔したよな?!俺!」
ユウコの真っ赤な顔を見たマックスは再び慌て始めた。
「ったく…落ち着けよ、オッサン。こいつ苦手なくせに酒飲んだんだ」
「酒だァ?…おいユウコ、お前大丈夫か?真っ赤だぞ?」
「ほら、ここ座れよ」
『…んー、うん』
「おいおい、酒ってこれか?」
「ああ、ラッパしてた」
「どうしたんだ、ラッパなんて」
「…俺が、そうやって飲んでるの見たからだよ」
「……ああ、なるほどな」
こういう時のオッサンは、少しの言葉から状況を理解するのが早い。今も核心的なことは何も言っていないのに全て伝わったようだ。
「さすがのお前も、エイジに心無いことを言うのは堪えたか…」
「チッ…」