ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第20章 Los Angeles
《アッシュside》
バルコニーに出ると、心地よい風が吹いていた。
ふう、と息を吐き、気持ちをリセットする。
ひどく疲れた様子のショーターに目を向けると、ようやく口を開いた。
「……ユーシスだけどな、別に不審なところはなかったぜ」
「そうか、それならいいんだ。やっぱり俺の気の回しすぎか」
ここの所あまり気持ちが晴れない。
そのせいで余計な所にまで気がいっちまってるようだ。
「なあ、ショーター」
「………」
「ショーター……おいショーター」
「…っ!」
「どうしたんだよボーッとして」
「…いや、ちょっと疲れただけだ」
「じゃああの婆さんにお国の料理でも作ってもらえよ。お前のより数段マシな味だぜ?」
「ちぇっ、よくも言ってくれたなァ。こー見えても張大飯店の跡継ぎなんだぜ?」
「そりゃ気の毒に。お前の代でおしまいだな」
まだ風に当たりたいらしいショーターを置いて、俺は部屋の中に戻る。
あのユーシスとかいうやつになにか裏があったら、とずっと考えていたがその線が消えるとなると、あいつもただの被害者だ。
早く謎に包まれたBANANA FISHを解明して、さっさと次のフィールドにいかなくちゃならねえな…。