ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第20章 Los Angeles
エイジがパソコンのある部屋へ2人を呼びに行ったあと、私はソファにぐったりと座り込むショーターに水の入ったコップを手渡した。
「…サンキュ」
『どうかした?大丈夫?』
「ああ、ヘーキ。ちょっと疲れたんだ」
『そう?』
「なあ、ユウコ」
『うん?』
「………ごめんな」
「えっ?」
その時、パタパタと足音がした。
目を向けるとエイジが2人を連れ戻ってきていた。
「ショーター」
アッシュはショーターを呼ぶとそのままバルコニーへと歩いていってしまった。
「…ああ」
立ち上がり、ポンッと私の頭に手を置くとアッシュの後に続き部屋を出ていった。
『ショーター…?』
「あれ?どこいったの?」
『…わからない、せっかくスウルーさんが中国茶いれてくれたのにね』
「せっかくだから僕たちだけ先にいただこうか。ね、伊部さん」
「ああ、そうだね。そうしよう」
「………」
アッシュの向かった先をボーッと眺めるロボさん。
『ロボさん、…ロボさん?』
「うおっ……あー、わりい」
『大丈夫?朝からずっと部屋にこもって色々見てたんでしょ?疲れちゃった?』
「ああ…いや、大丈夫さ、すまねえ」
『そっか』
「…あら、揃われましたか?」
「ちょっと2人だけどこかに行っちゃったので僕たちだけ」
「はい、かしこまりました」
『あっ、スウルーさんお手伝いします!』
「いいんですよ、お客さんなんですから」
『いえいえ!』
「ではお願いしましょうかね、ありがとうございます」
キッチンへ向かう途中でユーシスさんに会った。
『あっ』
「おや、坊っちゃま…お茶をいれましたよ」
「ありがとう、部屋まで運んでくれる?」
「はい」
『あの、もし良かったらご一緒しませんか?』
「……え?」
『あ…用事があったら無理にとは言いませんが、これから私たちリビングでお茶をいただこうかと』
「用事なんて……僕がお邪魔でなければぜひ」
『よかった、じゃあ先にリビングに行っていてください』
「…はい」
カチャカチャと食器をトレーに乗せていると、スウルーさんは何故か私に「ありがとうございます」と穏やかな声で言った。