ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第20章 Los Angeles
《アッシュside》
「…薬物」
エイジがそう呟く。
「問題はおそらく、この不活性アルカロイドだ。これについては詳しいデータがない…これが一体なんなのか、一体どんな作用を引き起こすんだ…?」
「…これがグリフを狂わせたものの正体だってのか?」
「ドラッグかぁ…それも全く未知の………」
シン…と静まり返る中、ユーシスが口を開く。
「あの……今夜はもう遅いですし、そろそろ休まれてはいかがです?人数分というわけにはいきませんが、部屋もあります」
「…ああ、そうさせてもらうよ」
マックス、イベ。
ショーター、エイジ、俺。
そしてユウコはそれぞれ部屋に入る。
「アッシュ」
「なんだ?」
「明日は昔から馴染みのやつに会ってくる」
「……ああ」
例の件のことか。
不安要素は摘んでおくに越したことはない。
「え?なに、ショーターは友達に会いに行くの?」
「ああ、まあな」
「今日ユーシスに会って思ったけど、やっぱりチャイニーズはみんな親切だね。突然訪ねてきた僕らに部屋まで用意してくれてさ」
俺もショーターも一瞬言葉を返せなくなる。
「はァ〜…エイジにはずっと素直なままでいてほしいもんだぜ」
「なっ…どういう意味だよ」
「そのままの意味だよ」
「ちぇっ、馬鹿にすんなよな!」
「別にバカになんかしちゃいないさ、ただこういうやつが痛い目に遭うのだけは許せないから明日は俺がしっかり仕事してこなきゃなって、そーゆー話」
「なんだよショーター、全然意味がわからない」
「まあいいんだよ、早く寝ろよエイジ。色々疲れたろ」
「……ふんっ、おーやーすーみ!」
ちょっと拗ねたように布団に包まるエイジ。
俺とショーターは顔を合わせて小さく笑った。
「…頼んだぜ」
「ああ、任しとけよ」