ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第20章 Los Angeles
《アッシュside》
「…エイジに似てるなァ」
ショーターがポツリと言う。
「えっ、そう?」
「……ん、」
大勢に囲まれていることを不思議に感じたのか、ゆっくりと体を起こした。
「きみ、言葉がわかるのか?」
マックスがいつもより数段穏やかな声でそう問うと、頷いて怪訝そうに俺たちを見回した。
「はい……あなた方は?」
「坊っちゃま…こちらの方々が助けてくださったんでございますよ」
「スウルー…」
「一体なにがあったんだ?俺たちは…あんたの親父さん、ドースン博士を探してこの家に来たんだが、あの男たちは?なにか心当たりがあるのか?」
「…僕にもわからないんです…いきなり襲いかかってきて…」
ここで俺は、気になることをぶつけた。
「アンタ、息子だそうだけど…親父さんはユダヤ系だろ?アンタどう見たって東洋系だよな?」
「はい、父とは血の繋がりはありません。僕は養子なんです…」
『えっ』
「…なにか?」
『あ…いえ、すみません』
自分と同じ境遇だからか、ユウコはそわそわしながらこいつの話を聞いていた。
「…僕はもともとハウス・ボーイとしてこの家に雇われていたんです。父には子どもがいなくて…僕をとても可愛がってくれて…息子にならないか、と…」
「なるほどね…ちょっとした玉の輿だな」
「アッシュ!口がすぎるぞ」
「でもその通りです…色々誤解もされましたけど、僕は父を尊敬していますし…心から感謝しています」
『……っ』
「で、その博士は?いつ帰ってくるんだ?」
「父は…半年前から行方不明なんです」
『……え?行方不明?』
「はい、なかなか帰らず…連絡も取れなくて」
「…部屋をみせてもらうぜ?」
「わかりました…」