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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第20章 Los Angeles


「だいたいね、この人は昔っからいいかげんで無責任な人なのよ!」

『そ、そう…なんですか?』

「そうよ!ユウコ、いい?旦那にするならしっかりした男を選ぶこと。ちゃらんぽらんな男に引っかかったら絶対に後悔するはめになるんだから!」

『あ…はは……あっ、そういえばふたりはどこで出会ったんですか?』

「あたしたちが初めて会ったのは“ペントハウス”のスチール撮影だったわ。あたしがモデルでこの人はカメラマン助手」

「そんなこともあったかな」

「それなのにこの人ったら3日後会った時、あたしのことがわからなかったのよ!信じられる!?」

「しょーがないだろ!“隣のおねえちゃんのオ××コシリーズ”なんだぞ!顔なんか覚えてるもんか!」

あんまりよろしくないワードが聞こえたなと隣のマイケルを見ると、彼は心底呆れたように頬杖をついていた。

「あれがぼくのパパとママの会話なんだものな…児童保護センターのほうがまだマシだよ…」

「『………』」

マイケルの向こう隣に座るアッシュと目が合ったがお互いなんとも言えず無言で苦笑いをした。


「ハイぼうやたち、いいセンいってるじゃない。あと5、6年したらうちの雑誌のモデルにならない?今から契約してもいいわよ」

「よせよせ!尻の穴まで丸見えの大股開きをさせられるのがオチだぜ!」

「それがどーしたっていうの!“プレイボーイ”だって“ペントハウス”だってみんな女のアソコで儲けさせてやったんじゃないの!ねえ、ユウコ!」

『…えっ?…あ、えっと』

「女が男のアソコで儲けたからって文句は言わせないわよ!」

「フン!おまえらの“プレイレディ”はなんだよ!?何が新しい女性のためのニューマガジンだ!“隣のおにいちゃんのオ×××ンシリーズ”なんかクソくらえだ!」

「あんたにとやかく言われる筋合いはないわ!!」

「あるさ!マイケルの教育上、悪い影響が出たらどうするんだ!」


再び隣のマイケルを見ると、彼は特段表情を変えずに「これ以上悪い状況なんて考えられないね」と呟いた。


「「「「『……………』」」」」


「う……」

私たちのシラーっという空気にようやく気がついたのかふたりは言い争いをやめ気まずそうに咳払いをした。

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