第20章 Los Angeles

銃……？誰だろう、あの女の人。

｢マイケル、おうちに入ってなさい！｣

｢ママ…｣

｢おうちに入りなさい！ママの言うことがきけないの？！｣


…ママ？

ってことはもしかして、この人…。


｢そ…そりゃーないだろうジェシカ！！1年ぶりに会ったんだぞ！｣

｢おだまんなさい！！｣

｢ひゃあああ！！！｣

容赦なく銃を打ったその人は、きっとロボさんの元奥さんだ！


｢すっげ〜〜…｣

｢あの人が別れた奥さんなの？｣

｢あれじゃ気分も悪くなるわけだな…｣


｢ジョージからあんたが逃げ出したって聞いてまさかとは思ってたけど、なんて人なの！裁判に負けそうだからってマイケルを誘拐しようっていうのね！！｣

｢ちが…そりゃ誤解だ！ジェシカ〜！！｣

｢何が誤解よ！あんなチンピラまで引き連れてきて！｣


チンピラ…と言われた私たちサイドはアッシュとショーターがぶつくさ文句を言っている。

｢チンピラで悪かったなー｣
｢好きで来たわけじゃねーぞ！｣
『はは、まあまあ…』

｢ねえ伊部さん、誘拐って？｣
｢この国じゃミッシング・チャイルドのほとんどが養育権訴訟に負けた親の犯行なんだよ｣
｢へー…｣

｢ジェーシカ！きいてくれ！ほんとに誤解なんだ！｣
｢ほら…なら僕を覚えていないかい？！伊部だよ！3年まえ君らがニュージャージーに住んでた頃取材で世話になっただろ！？｣

｢シュンイチ！？……シュンイチなの！？｣


それからあれよあれよという間に私たちはお家の中に招かれて、ピリピリとした元夫婦のやりとりを聞いていた。