ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第20章 Los Angeles
「ところで、今どのあたりかな?」
イベさんの言葉にロボさんは地図を広げた。
「えーっと、さっきのがルート10だと思うからこのまままっすぐ行けばロス・アンジェルスにぶちあたるはずなんだよな」
「…ほんとかよ。だったらそろそろ標識が見えてもいい頃じゃんか、道間違えたんじゃねえの?」
「あーあ!もう車に乗んのやだぜー!ずっと乗ってて尻が石みてえだよ」
その時、
「『!』」
私とアッシュがほぼ同時に同じ方向を見た。
私は確信ではなかったけど、誰かの気配を感じた。
「どうした?」
「誰か来る!」
「「「「!?」」」」
「…何も見えないが」
「……ん?明かりだ!やっぱり誰か来る!」
「さすがだぜ、おまえら」
「感心してる場合じゃねーぞ、……誰だ!!」
ライトの明かりが強くなって、アッシュは腰の銃に手をかけた。
「そりゃーこっちの言うセリフだわ。なんだあ?おまえらは。公園の中でキャンプなんかしちゃいかん」
ーー公園?!
きっと全員の頭の中で同じワードが繰り返された。
「お、おいおっさん…ちょっと聞きたいんだけど、ロス・アンジェルスへはどう行ったらいいのか……な?」
ロボさんが恐る恐るおじさんに訊ねると、ハァとため息をついてこう答えた。
「からかってんのかあんた。
ーーロスは“ここ”じゃねえか」
「“ここ”〜!?」
私たちは信じられず草むらを抜けて辺りを見回すと、たしかにそこからはロスの明かりを一望できた。
「…きれいだな」
「ひょーっ!絶景!!」
「こりゃあすごいや!」
感嘆の声を漏らしながら、私たちはそれぞれの思いで遠く光るロスを眺めた。