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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第19章 Cape Cod





ごめん、本当にごめんよ、ユウコ。
キミをどこかにやろうだなんて、私は1度たりとも考えたことがないよ。
深く傷付けておいて今更なんだと言われても、私はユウコを心から愛してる。大切で仕方ない私の1人娘なんだ。

いつの日かキミがこの街に帰ってきたら、抱きしめて謝りたかった。ごめん…許してくれ、ユウコ…愛してる、そう何度も繰り返して、例え許してもらえなかったとしても直接本当のことを伝えたかった。

…だが、その“いつか”を待てるだけの心の余裕が、もう私にはなくなってしまった。私たちに捨てられたと勘違いした幼いユウコが、一体今どんな生活をしているのだろうと想像するだけで涙が止まらなくなった。罪悪感と自己嫌悪に、いつしか私も上手く眠ることができなくなってしまった。


そして私は昨日、ふと思った。
…キミは、今も生きているのだろうか?と。

私はキミが私たちを恨みながらもどこかで生きている、そう勝手に思い込んでいた。だが、あんなに幼い子供がどうやって生きていくことができる?食べ物やそれを買う金すら持っていない、考えればすぐに分かることから私は何故今まで目を逸らして生きてきたんだ?…キミが今も生きていると考える方が難しいというのに。

もう、限界だ。ここでキミを待ち続けることも、もうキミはこの世にいないと思いながら生きていくことも、私には出来ない。私には耐えられない、全てが限界だ。すまない。


早くキミに会いたいよ。

こんな私がキミと同じところへいけるかわからないが、一頻り神に祈ってからママと向かうよ。待っていてくれ。

ユウコ、ごめん。そしてありがとう。
キミと出会えて、家族になれて幸せだった。





心から愛を込めて。








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