ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第19章 Cape Cod
「ユウコ……こっちへ」
『!』
私がアッシュのパパに近づくと、懐から封筒を取り出した。
「悪い…血がついちまった」
『これ…』
「他にもあるが、とにかくそれだけ持って早く行け…」
『……』
「…テイラーの親父さんは、確かにおまえを愛していた。それを読めば全てがわかる」
『…っ!』
「おい!ユウコ!早くしろ!!」
「…ユウコ、あいつを…“アスラン”を頼む」
『え…?』
「あいつのそばに…いてやってくれ…」
私だけにしか聞こえないような、小さな声。
手紙を胸に抱き涙ながらに私はコクンと頷いた。
私がドアにいたアッシュの元へ走ると、グッと肩を抱き寄せられる。
「死ぬなよ!クソおやじ!!」
「おまえもな、バカ息子…!」
振り切るように背中を向ける。
「走れるか?!」
『…うん!』
私の手を掴み走り出すアッシュ。
既に走り出したトラックからは、ショーターとエイジが叫んでいた。
「アーッシュ!ユウコーッ!」
「ちくしょう…こんちくしょーーっ!!」
『…っう、…うぅ…!!』
私たちはそれぞれの思いで涙を流しながら、文字通り車に飛び乗った。