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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第7章 何度も抉られる


《アッシュside》

「嘘をつくんじゃねぇよ」

そう言って部屋に男が入ってきた。

「いよぉジェンキンズ、ひと足遅かったなあ」
「エヴァンスタイン…」
「相変わらず仕事熱心だなあ…受け持ち外までおでかけとはポリスのカガミだぜ。」
「あ…いや、実はそのことなんだが…その少年は今、我われがかかえてる事件に重要な関わりがあるらしいんだ、それで」
「しかしこれは俺の事件だからなぁ…何しろ殺人の現行犯だ…」

「俺はやってないって言ってるだろ!!」

「そんな言い草が通用すると思ってるのか?アッシュ・リンクス!とうとうしっぽを出したな…お前はいつかこういうことをやらかすヤツだと思ってたさ」

俺の顎をクイッと掴みながらそういうこの男は何かが胡散臭い。

「……それにしても随分手回しがいいんだな…まるで俺がここへ来るのがわかってたみたいじゃないか…」
「生意気な口をきくんじゃあない、このチンピラが!」

「…しかしどうしてこんなに早くわかったんです?我われは5分と開けずにアッシュのあとを追っていたんですよ」

チャーリーが言う。

「5分もあれば人殺しはできる。あいにくオレたちもここから5分足らずの場所にいてね…銃声がきこえたという署からの通報でここへやってきた。そしたらこのおぼっちゃんが死体のすぐそばにいらっしゃったわけさ。」

「俺がここへ来た時、マービンはもう死んでた。」

「ほう?それじゃこれはなんだ?こりゃあお前の銃じゃないのかね?…いずれ調べればわかることだ…連れて行け!」

「あ…っ」

俺を連行しようとする警察が出血する傷の部分をわざと掴む。

「待ってくれ!」
「なんだね?ジェンキンズ」
「彼はケガをしている。まず病院で手当してやってくれ。」
「ふん、あんな減らず口がたたけるぐらいピンピンしてるじゃねぇか」
「だがリンチにあってることは間違いないんだ…マービンのさしがねで。」
「ほう?そいつが動機かな?…しかし何をやらかしてお仕置きになったのかね?」
「我われが知りたいのもそれだよ…ウイラード」
「尋問が済んだら手当してやるさ。」
「ウイラード!」
「まだなにかあるのかね?アントニオ」
「尋問に立ち会わせてもらえないか?いや、ぜひそうさせてもらいたい!」

「…それは命令かね?刑事課長どの。」
「友人として頼んでいるんだよ…ウイラード・エヴァンスタイン」
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