ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第19章 Cape Cod
荒く熱い呼吸を首筋に感じる。
そして無言のままアッシュは銃を持つ私の手にそっと触れた。
『………っ!』
「…こんなに…震えて」
もう無駄だとわかっていても期待してしまう、
そんなふうに触れられたら
まだ一緒にいられるんじゃないかって。
…っ、情けない。
こんな期待、惨めでしかないのに。
だから私は、そんな未練を断ち切るようにこう言った。
『な…っなに……やっぱり買う気になった?』
「ああ」
えっ…?
「買ってやる、
だから…どこにも行かないでくれ」