ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第19章 Cape Cod
《アッシュside》
「じゃ、じゃあなジム…その、悪かったな」
俺が蹴り飛ばしたジジイを抱えて気まずそうにそそくさと男たちが帰っていく。
ドアが閉まり、シンと静まり返る。
ーー『アッシュなんか…大っ嫌い!!』
「……っ」
何度目かわからないため息を吐きながら頭をグシャグシャとかく。
すると、カウンターの辺りからガタッと音がした。
「アッシュ!何してるんだよ!早くユウコを追いかけなきゃ!」
えらく必死にエイジがそう叫んだ。
「……あいつは望んでねぇよ」
「そんなことを言ってる場合じゃないだろ!?あんな状態のユウコを放っておいたら、今度こそ本当に誰かがユウコを連れて行っちゃうかもしれないんだぞ!?」
「そうかもな」
「っ!?…なんだよそれ!キミはそれでも良いって言うの!?」
「うるせえな!……そんなに心配ならお前が行けばいいだろ」
「アッシュ!!」
「……いいよ、エイジ。俺が行く」