ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第19章 Cape Cod
《アッシュside》
「おーい」
声の方に目を向けるとイベが歩いてくるのが見えた。
「ああ伊部さん、おはようございます!今アッシュに銃を撃たせてもらってたんですよ」
「ああ、ユウコから聞いたよ。それとさっき昨日の彼女が朝食を用意したと呼びに来てくれたんだ。英ちゃん、ショーターを起こしといで」
「はい」
タッタッと駆けていくエイジを見ていると、視線を感じた。
「……」
「なんだよイベサン、あいつに銃を撃たせたのがあんまり気に入らないみたいだな」
「別にそうじゃないさ…ただ、きみと彼とはあまりにも違いすぎる。育った環境も考え方も」
「…何があったのか知らないけど、あんたはあいつを甘やかしすぎる。そんなだからあいつはいい歳して自分の身ひとつ守れねーんだぜ」
「俺たちの国では自分の身を守るために銃を持つ習慣はないんだ!」
ドギュゥン
バリンッ
「あいにくここはニッポンじゃない、あんたはそのことを忘れてるぜ。誰かがあんたに銃を突きつけた時、そのセリフが通用するかどうか試してみるんだな」
イベのため息を聞きながら俺はエイジを追うように家に戻った。