ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第19章 Cape Cod
《英二side》
ド、ゥンッ!
強い衝撃が僕の全身に駆け巡る。
「……っ」
バリンッ
「「!?」」
「うそ…当たった!?」
するとアッシュは家の方に顔を向けた。つられて僕もそっちを見ると、10mほど離れたところに銃を構えたユウコが立っていた。
「…お前!」
アッシュが声を上げると、ユウコはいたずらっ子のような顔をして走って家に戻っていった。
「あー、びっくりした〜!…だよね、まさか僕が当てられるわけないもんね…それにしてもユウコもすごいな、ここよりも遠いあんな所から小さい的を狙えるなんて…ついさっきまで眠っていたのにな」
「……ハァ」
「アッシュ?」
「あいつは目と射撃センスが恐ろしく良いのさ、昔から」
銃といえば…僕はアッシュに話さなくちゃいけないことがあったんだった。
「アッシュ、あの…」
「なに?」
「魚市場でゴルツィネを襲撃した時にさ、僕…ユウコに」
「…ああ、あの銃はお前のだったんだな。その件は色んなことが重なりすぎててすっかり頭から抜けてた」
「キミ怒ってるだろ?勝手なことして」
「…別に怒っちゃいないさ、結果的にはそれで助けられたからな…俺もお前も」
「まぁ…うん」
「結局、路地であいつを襲った男が言ったように俺が過保護過ぎたのかもしれない」
「そんな、」
「あいつの銃の腕は俺が1番よく知ってる。迷うことはあっても、逆にそれさえなければ命中率はかなり高い…つまり、急所を狙えるってこと。だからこそ俺はあいつに銃を持たせたくなかった。もし持てば人を撃たなくていい正当な理由がなくなるだろ?」
「…正当な理由?」
「仮にユウコの前で俺や仲間が敵に殺されそうになっていたとする。その時あいつが銃を持っていなければ、敵を撃つ選択肢はハナからなくなる。でも、もし持っていれば逆に撃たない選択肢はない…この意味がわかるか?」
「うん…でも、それならユウコが銃を持っていた方がアッシュたちの助かる確率は上がるんじゃないの?」
「…なあエイジ、
人を殺した時、どんな気分になると思う?」
「……ッ」