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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第19章 Cape Cod


「…ユウコ、悪かったな」

ショーターが部屋を出て少しした時、ロボさんは私にそう言った。

『え?』

「お前、ここに来るの乗り気じゃなかったんだろ?」

『……』

「危険な旅になるのはわかってたんだ、無理に連れてくることもなかったろうに。全くアッシュの奴は…」

『ちがうよロボさん』

「ん?」

『…私、たしかにここには来たくなかった。でもね、無理やりに連れてこられたわけじゃないの。だって、アッシュについてくるなって言われてもきっと私は一緒にここに来たはずだから』

「……それってどういう」

『…守りたいの』

「守りたい?」

『アッシュのことを』


「「………」」

ロボさんもイベさんも、私が何を言いたいのかまるでわからないような顔をしていた。

「…アッシュを守りたいって…ユウコお前、」


ガチャ


なんの前触れもなく扉が開く音がした。その音の先に私たちが目を向けると、先頭で入ってきたエイジが視線に気がついて足を止めた。

「わ、」
「おい!急に止まるなよ!」

「あ、ごめん!」

山のような布団に視界を奪われたアッシュとショーターがぶつかって文句をあげる。


「…なんだよ?この空気」

アッシュが何かを察してそう呟いた。


「へ?…あぁ、いやなんでもねえ!や〜、ワリィな布団持ってきてもらっちまってよォ」

「……別に」


「ねえアッシュ、布団は全部ここの部屋でいいの?」

「そこのベッドに1つとあとは隣の部屋のベッドに1つ、その他はこの部屋の床に適当に敷いてくれ」

この部屋はグリフの部屋、その隣はアッシュが使っていた部屋だ。

「あれ?そういえばさっき下のソファに毛布置いてなかったっけ?あれも持ってくるんだった?」

「いや…ユウコ、お前は下のソファを使え」

『え?』

「ベッドが2つしかないだろ?下のソファ、お前ならサイズ的にいけるだろうからさ」


『わかった』


私は頷いて、階段を降りた。
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