ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第6章 当たり前などこの世には
「アッシュ!ユウコ!スキップ!どこだ!?」
「ショーター!」
オーサーはギョッとした目をショーターに向けた。
ショーターはアッシュの親友で中国系アメリカ人でニューヨークのチャイナタウンのボスだ。
「ちくしょう!」
アッシュのそばにいた男が銃を取り出そうとジャケットに手を伸ばす。アッシュはその一瞬を見逃さず、体当たりをしてバランスを崩させる。
「気をつけろショーター!!ディノの手下どもがいるぞ!」
「このぉ、ガキども!!」
他の男たちが銃を手にして、続け様に撃つ。ショーターたちは咄嗟にコンテナの裏に隠れた。
ウィィィィィン
ウィィィイイイ
パトカーの音が響く。警察が来たようだ。
…ということはエイジは無事だ。警察に事情を話してくれたんだ。壁の向こう側で動けなくなっている姿も想像するに容易かったが、とりあえず良かった…。
「やばい、サツだ!」
「チッ、やっぱりあのガキたれこみやがったな」
マービンやオーサーを含む全員の顔が焦りに変わった。
「くそ…よくも…!!」
マービンは、先程の突進で倒れ込んでいたアッシュに銃口を向けていた。
『…!!』
「こんな風に死なせてやるつもりなはかったがそうもいかなくなったようだな。運のいいヤツだぜ…だがその運もこれで最後だ…
死ね、アッシュ!!!!」
マービンは撃つ気だ、そう確信した私はアッシュ目掛けて走り出した。そしてアッシュとマービンの間に割って入ろうという瞬間、
「アーーッシュ!!!!」
私の元いた場所から、スキップの叫び声が聞こえた。
「!」
その声に即座に反応したマービンは
ドキュゥウウン
その手に握る銃のトリガーを引いた。
私に痛みはこない。
そう…撃たれたのはスキップだった。