第17章 ハードな朝

『……撃てた、よ』

｢いいか？ユウコ。…実際に銃を撃つ撃たないの判断に使える時間はほんの一瞬しかない。今のじゃあもう手遅れなんだぜ｣

『…っ…そんなこと…わかってる！だからたくさん訓練する！どんな場所でも迷わず撃てるように、今からたくさん努力するよ…！』

｢必要ない｣

『どうして！』


｢お前は俺が守る｣


『…っ！』


｢…随分前に言ったはずだ。お前はなんの疑問も持たず、ただ俺に守られていればいい｣

『………』

何も言葉が浮かばなかった。
驚きで胸がドキッとしたのもあるけど、アッシュの目がとても真剣で、さもそれが当然のような説得力があったから。
昨日のこともあったし本当は納得出来ていないはずなのに…反論すら無意味だと思える。

まあ反論も何もアッシュがこの件についてどう考えているのか、実のところよく分かっていないのだけれど…。



私が俯いていると、ピュウッと口笛が響いた。

｢…カーッコイイ、俺も死ぬ前に言ってみてえな｣

ショーターは少し茶化すように笑った。

｢……おまえな、｣

｢ハハッ！ユウコ、色々思うところはあるかもしれねえけどさ…とりあえず今はまだ現状維持ってことでどうよ？まー、ちょっと俺もこの話は詳しく聞きたいところではあるけどな｣

｢ッ、お前には関係ない話だろ！｣


『…ん、……わかった』


ーー今は。





｢…『関係ない』ね〜？実際のところ今後絶対関係ないとは言えないだろ？…アッシュ、これからどうするか決めたか？｣


…これから？


｢あぁ、大体は｣


『え…、何のはなし？』

｢ユウコ、これから“クラブ・コッド”についてこいつらに話す｣

『…っ！？』


クラブ・コッド……？
どうして…？


｢お前は部屋に戻っててもいいぜ…聞きたくないだろ？｣


『…………』



大丈夫。

過去の話をするわけじゃない、これからの話だ。

きっと、これからの私たちの話。



私は深く息を吐いた。


『…ううん、大丈夫。続けて？』




アッシュは頷いて、ゆっくり息を吸った。