ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第17章 ハードな朝
《英二side》
「そういえば、もうユウコに会ったの?」
「…いや、まだだ。あいつはまだ寝てるよ」
あのユウコがこんなに長い時間眠っているなんて信じられないや…。アッシュが近くにいることで安心して眠れてるとしか思えない。
「そっかあ…ユウコ、きっとびっくりするぞ!昨日の夢が本当になったって」
「あいつはきっと覚えてないぜ?酔っ払って寝た次の日は、綺麗さっぱり記憶ナシさ」
「へえ…そうなんだ」
「お前、あいつに余計なこと言うなよ」
「余計なことって?…あつーいハグしてたこと?おでこにキスしてたこと?」
「バ、バカヤロー…!」
「何も言わないよ!…昨日はごめんね、僕泣いちゃって。ずっと堪えてたんだけどさ」
「いや、こっちこそ悪かったよ。俺があんな話聞かせちまったからだろ」
廊下に出た辺りで話していると、ショーターが部屋のドアを開け顔を出した。
「おっ!起きたか、エイジおはよう!早く入れよ飯が冷める、それと…」
ショーターはクイッと親指で室内を指して、あいつ起きてきてるぜと言った。
「……」
立ち止まるアッシュ。
僕はそんなアッシュの脇腹に肘を当てた。
「ふふ…僕、先に入ってるね?」
「……あ、あぁ」
中に入るとソファにユウコが座っていた。テーブルにはショーターの朝ごはんが並んでいて、部屋中にいい匂いが漂っている。
「ユウコ、おはよ!よく眠れた?」
『あ、エイジおはよう。久しぶりにすごくよく眠れたよ』
「そっか!…いい夢、見れた?」
『うん!なんだかいっぱい夢見て疲れちゃった』
あははと笑うユウコはいつも通りで、やっぱりアッシュの言う通り記憶には残ってなさそうだった。
『…あれ?そういえばイベさんは?』
「え?」
『食事、4人分用意してくれてるし…やっぱりイベさんもいるんでしょ?まだ寝てるなら私起こしてくるよ!』
ユウコは立ち上がってパタパタとドアに向かった。
「あ、ユウコ!まっ…」
『!?』
「………」
ユウコが部屋を出る前にアッシュが入ってきて…
ついに2人は、
久しぶりにしっかりと顔を合わせた。