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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第16章 それでも前へ


アッシュの声がする…

…帰ってきた、
また一緒にいられるんだ!


私は嬉しくて嬉しくて仕方なかった。


『……』

「…あ、目開いたな」

「ほんとだ!」


『ショーター、エイジ…?』


声の方に目を向けると2人は笑って私を見ていた。

『……ん、』

なんだか視界がボヤけてふわふわしてる…


ああ私、またアッシュの夢を見てたんだ。それで今のこれは、その次の夢…?


『ふふっ…はじめてだ』

「ん?」

『これ…わたしの夢のなかでしょ?だってすごくふわふわしてるもん…』

「…え?ユウコ寝ぼけて」
「ちょ、エイジ!…おー!そ、そうか〜!お前これが夢の中だって気付いちまったんだな?」

『うん!わたし、夢のなかでこれが夢だってわかったのはじめてかも…!おもしろいね…すごくリアル』


「あっ…なるほど!」

『ん?エイジ…?』

「っ…いや、あっそういえばユウコ、何かいいことあったの?さっき笑ってたけど」

笑ってた?
…ああ、前の夢のことかな


『ふふ、あのね…わたし…アッシュがかえってきた夢をみたの』

「っ…へ、へえ?」

『…顔は見れなかったんだけど声がして…なんだか、ちかくにいるみたいな夢で……ん?』

私が体を起こすと、パサッと上着が落ちた。

『……あれ?この服だれの……?』


手にすると、ふわっと香る。
それは私のよく知る大好きな匂い。


『アッシュのにおいだ…』




「……ユウコ、会いたい?」

『え?』


「あいつに、会いたいか?」



そんなの当たり前だよ
夢だっていい、

顔が見たい…話をしたい



『…うん、』

私は上着を抱きしめて頷く。


「よし!…俺たちが特別に会わせてやろう」

「なんたって、これはユウコの夢の中だからね!」

『…え?ほんと?』


「ああ」
「うん!じゃあユウコ、目を瞑って?」


『…うん』

私は言われるままに目を瞑った。


「そのまま体を左に向けて…そう。そしたら3秒数えて目を開けてごらん」


面白い夢だなあ…


『…3、…2…』

カウントダウンを始めて、心臓が期待にドキドキと高鳴っていることに気がついた。




『……1』


私は、ゆっくりとまぶたを開けた。

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