ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第6章 当たり前などこの世には
オーサーが私を助けた?気に入ってた…?そして、アッシュと離れて、なんて…。
…まるで理解ができない。
「まぁすぐじゃなくていい。俺は今まで欲しいもんは力ずくで奪ってきた。…だけど、あんたのことはちゃんと欲しいんだよ。」
頬をするっと撫でられながらそう言われると、何も言えなくなる。
今まで私はアッシュの隣にいることが当たり前だったし、それは周りの認識もそうだった。だから、俺の女になれ…だなんて言ってくる人には出会ったことがなかった。
「…なんだ?………ったくジャマしないでくれよ…ボス」
後ろを振り向くオーサーの目線の先には、出血する傷を押さえ膝をつきながらも後ろ裾を掴んでいるアッシュがいた。
「……」
アッシュはオーサーを力ない目で睨みつける。
「…んだよその目は。あ?…そんな血だらけの瀕死状態でなんのつもりだよ?…執着がましくて見苦しいぜ。」
その腕を強く振り払うオーサー。
「…ッ…」
その勢いに体勢を崩し痛みで踏ん張ることが出来ず倒れ込んでしまう。
『…ぁ…!アッシュ……ッ!』
アッシュの元へ駆け寄る私の肩から、オーサーの掛けた服がパサリと落ちた。
それを見たオーサーは眉間にシワを深く寄せ舌打ちする。
「お前は山猫の姫みたいな女がお好みだったのか?…振られたみたいで残念だったがな。」
「…っせぇな…。それどころじゃあないぜ…どうするんだマービン。この不始末は?」
そしてオーサーが続ける。
「…あのチャイニーズがサツにたれこんだら全てがおじゃんだぜ。どうするつもりだい?みんなあんたのスケベ心がまいたタネなんだぜ」
「…場所を変えよう…こいつらの始末はそこでつける」