ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第6章 当たり前などこの世には
「アッシュ、ユウコ、キサマら…」
振り返るとそこにはマービンがいた。
私たちそれぞれに2人程の男がつき両腕を掴んで、引きずられるようにまた倉庫の中に叩きつけられる。
アッシュを連行していた男が腹いせのようにその頬を殴った。
「……ッ!…」
「ボス!大丈夫!?」
「へっ、てめぇボスの心配してる場合か?!」
スキップも数人の男達に何発も思い切り殴られる。
『スキッパー!』
助ける為に近寄ろうとした時、後ろからマービンが腰に腕を回してきて拘束される。左手は腰を、右手は私の両頬を掴んだ。
「おいユウコ、さっきはバカにしてくれたな…俺はお前の綺麗な顔が歪むのを見ると、すげぇ興奮すんだ…覚えてるよなァ?」
『…っ!……』
「ちょっと前までガキの体してたのに、チッ…すっかり女になりやがって…!」
『…ごめ、んなさい』
反射的に謝罪の言葉が口をつく。
すると満足そうにマービンは私の服を中途半端に破ると、無理やり肩を露出させる。その場に力なく座り込む。
「大人の女になんかならなきゃ相手してやったのに、残念だったな。代わりにこいつらにたっぷりと可愛がってもらえよ?」
外気に晒された私の右肩を撫でると、マービンは目で“やれ”と合図した。
周りにいる男たちは舌なめずりをしてこちらに近付いてくる。
「…弱った王子様の目の前、でな」
迫りくる男達の腕が無数に私に伸びてきてギュッと自分の肩を抱きながら目を閉じた。
『…!』
「…ックソ、豚…野郎…ッ!…やめろ…ッ!」
アッシュが痛む体を引きずりながらこちらに来ようとしている。その瞬間、
「…相変わらずクセェ趣味してんな、マービン。…お前はコソコソと隠れてキレーな男でも抱いてりゃ良いだろうが。」
その男たちの前に立ちはだかるように立ったのはオーサーだった。
「オーサー、お前…誰に物を言ってるのか分かってんのか!」
「あ?…分かってるよ、だからなんだ?」
私はオーサーを乱れた服のまま見上げる。
『…オーサー…?』
「んな顔すんなよ…俺はお前のこと実は結構気に入ってたんだぜ?…ったくこんな場所でいつまでも肌晒してんな。ここは飢えた男しかいねぇんだぞ。ほら。」
オーサーは自分の着ていた上着を私の肩にかけた。そして目線を合わせるようにしゃがむと、
「お前、こいつのとこ離れて俺の女になれよ。」