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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第16章 それでも前へ


路地に差し掛かると、少し先の方でショーターとチャイニーズの仲間たちが話しているのが見えた。

何かあったのかな…?


『ショー…んッ!!』

私がショーターを呼ぼうとすると突然後ろから口元を手のひらで押さえつけられた。

「…ユウコ・リンクスか?ちょっと顔を見せてみろ」

…誰?
声に聞き覚えがない。

『…ッん゛!!』
「がぁっ!……ゔっ!!!」

覗き込もうとする男の顔を思い切り肘で打ち、そのまま腹に回し蹴りを入れる。

「ッ…てめぇやりやがったな……おい!間違いねぇ!こいつが山猫のユウコだ!!」

その声を聞きつけて2人の男が飛びかかってくる。

『!』

なんとか避けつつショーターのいた方に目を向けるともうそこに姿はなかった。

武器になるようなものは何も持っていないし、ガタイのいい男ばかりだ。3:1はかなり分が悪い。勝ち目がないことは一目瞭然だ…


『…っ』

私は距離を取って片手を背中にやった。


「!…おい、まさかこいつ銃を」

騙された2人が慌て始める。よし…今のうちだ、この路地は1本入れば迷路のようになってる。

逃げるルートを頭に浮かべた

その時、



「まて、こいつは銃なんて持っていない…いや、持つことを許されていない」


『!?』

「…どういうことだ?」


「“王子”が過保護過ぎるのさ、

…そうだろ?お姫様」


なんで?…なんで会ったことも話したこともないこの男が私が銃を持たせてもらえないことを知ってるの?

『…っ、』

「ッフ、一気に大人しくなっちまったな子猫ちゃん」
「なんだよ…こいつ丸腰なのか、ハッタリかましやがって」
「さっさと眠らせて連れていこうぜ、今日は報酬でパァーッとやれそうだ!」

1人の男がナイフを取り出して再び飛びかかってきた。

だめだ、逃げなくちゃ…!
私が足に力を入れ踏ん張った時、突然目眩のようにクラッと視界が歪んだ。

『…ぁ…』

「…よし、暴れるなよ」


羽交い締めにされ、ナイフを首に突き付けられる。


「アッシュ・リンクスに見つかる前にお前に会えてラッキーだったぜ、…おやすみ」

布を顔に宛てられた瞬間、カクンと体の力が抜けて頭がぼんやりした。

落ちる意識の中で私を呼ぶ声が聞こえる。



その声、



……アッシュ?




そんなわけ、ないか…


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