ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第16章 それでも前へ
ショーターを、
他の男の人を好きに…?
『……』
「…おっ、意外と脈アリ?」
『ナシ』
「バッサリかよ!」
『……驚いた』
「何が?」
『他の男の人を好きになるって考えてみたんだけど、ビックリするくらいに想像できなくて…』
「ッフ…今更かよ」
そう言うと、ショーターは私の頭をわしゃわしゃと撫でた。
『…わっ!』
「あー、安心した!」
『え、なんで?』
「俺を好きになれるなんてお前が言ったら、俺は一生逃げ隠れしながら生きていかなくちゃいけないところだったからだよ!…地獄の果てまで追って来そうだからな、アイツ」
『…ん?』
「ハハッ…なんでもねぇよ。…にしても遅せえな、何してんだアイツら」
『ここ結構入り組んだところにあるけど…エイジとイベさんは本当にここがわかるの?…あっ!どこかで迷ってたりして』
「…あー…その心配はねえよ」
『そうなんだ…すごいなぁ2人とも』
「もう着いてもおかしくない時間なんだけどな…まあ一応その辺まで見に行くか、お前はここにいろよ」
『わかった』
ショーターはバイクの鍵を持たずに出ていった。
すぐ近くの路地まで様子を見に行くみたい。
『……』
ショーターといるとすごく落ち着く。
アッシュ以外の男の人の前で眠るなんて危険で、今までだったら考えられないことだったのに…。私を見るショーターの目に性的なものが少しもないからかな。
そういえば当たり前のようにショーターに励まされちゃったけど…私、アッシュのことが好きだって話したことなかったよね?
部屋で泣いてた時もそうだったし、さっきのこともそうだけど…やっぱりショーターには隠し事ができないや。
『……』
そういえば、エイジとイベさんは早くからどこに行ってたんだろう。ショーターは心配いらないって言ってたけど、よく考えたら日本人が2人だけであの路地を入ってくるなんてかなり危険なんじゃ…?
ここからショーターが向かったであろう場所は近いし、追いかければすぐに合流できるはず。私は髪を後ろで1つに結った。
『…よし、』
ソファに掛けていた上着を腰に巻いてドアを開けた。