ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
アスランに体を見られているというだけでも恥ずかしいのに、唇の感触とちゅっという音がする。
『…ん!…っや』
私は必死に体を回転させ隠す。
アスラン、どうしたの?
どうして、そんなことをするの?
さっきは突然アスランの叫び声が聞こえて、それからキスをされてシャツのボタンを外されて…
温かいキスも、優しく触れるその手も、大好きなその声も確かに全部がアスランのなのに…理由はもちろん、何を考えているのかが全く分からなかった。ごめん、と何度も繰り返すアスランの声が切ない。
「………」
『…!…っう、ぁ』
アスランはシャツを捲って私の背中にキスをした。
手のひらでする…っと体を撫でられて、くすぐったいような気持ちいいような感覚に頭がおかしくなりそうになる。
そしてアスランは消えそうな声で私を呼ぶと背中に拘束される手を握った。
『…ぁ…』
「……ごめんね」
まただ
「…ごめん…」
『…どう、して?』
「ぼく…今からキミにとても酷いことをするんだ…」
…ひどいこと?
「きっと…っ…ユウコは僕のこと…大嫌いになっちゃうだろうな…」
『……え…?』
「ユウコにだけは嫌われたくないって…ずっと思ってた…。ユウコのことは、僕が守るってずっとそう決めてたのに…」
そう言いながら繋がるアスランの手に力が入る。
『…アスラン…?』
「……ユウコを、死なせたく、ない」
『!?』
死ぬって…なんの話?
「…もし今日ユウコに嫌われても、僕がアイツをずっと許せないように…たとえ一生許してもらえなくても…それでもいいから…ッ…僕はユウコに生きていて欲しい…
ごめん…、ほんとうに、ごめっ…ん」
背中にポタポタとアスランの涙が零れる。
『…ひ、ひどいこと…ってなに?』
「……ッ…クス」
『…えっ?』
「……セックス」
『っ!!』
明らかに体が強ばった私をギュッと抱き締めるアスラン。
「ユウコ、…ごめんね」
そして再び背中にキスが降ってくる。
唇が、脇腹にお腹にみぞおちにと移動して…ついに私はまた仰向けに寝かされた。