ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
部屋のベルが鳴る。
それと同時にマシューは顔を顰めた。
「っ……ごめんね、ユウコ」
『どうして?』
「助けてあげられなくて…ごめん」
助ける?
不思議に思っているともう一度ベルが鳴り響いた。
「…あぁ、……神様…」
そう呟きながらマシューはドアを開けた。
見覚えのない数人の男が部屋に入ってくる。
「支度は終わったか?」
「…へぇ、こんなペッタンコなガキかよ…相手が可哀想だぜ。おいお前、相手がその気になれるように精一杯いやらしく誘ってやれよ?」
「いや、東洋のメスなんてレアだぜ?…“オンナ”にしてもらったら俺も相手してやるよ」
『……え?』
「このあと男の味を知っちまうんだな…」
「ナカにローション仕込んどくか?まだなら俺がヤッてやってもいいぜ?」
「…おい!!この子を侮辱するなよ!この子は…この子たちは…被害者なんだ…!」
「…なんだァ?カワイコちゃん、あんたが相手してくれるってのか?」
「おいやめとけよ、どう見てもこいつパパのお気に入りだぞ」
「…ふん……いくか」
『…っい、た』
腕を後ろに回し何かで拘束される。
「…ユウコ!」
訳が分からず戸惑っていると、突然目の前が真っ暗になった。
『…っなに?…みえ、ない』
「そんな目隠し必要ないだろ!?」
「うるせぇな、この状態で対面させるよう言われてるんだよ」
『こわいよ…ったすけて…アスラ…ッ…アスラン…!』
「アスラン?…あいつのことか?」
「ああ…アッシュか。落ち着けよ、これからそのアスランのところに連れて行ってやるから」
アスランのところに…?
「ほら、歩け」
『…ッ』
リードを引っ張られて転びそうになる。
「…ぅ…ユウコ」
マシューが泣いている声が聞こえた。
『マシュ』
「行くぞ」
グイグイと引かれ、私は歩き始めた。
前が見えない…こわい…
しばらく歩いていると、どこかの部屋らしき場所に押し込まれた。
「しばらくここにいろ」
『え…っ、ア…アスランは…?』
「ここからは30分くらいだったよな?」
「あぁ、確か…」
『…っな、に…?アスランはどこ…ッ?』
「チッ、うるせぇな!ショーまでまだ時間がある、しばらくそこで大人しくしていろ!」
男たちが部屋を出ていく音がした。