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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第14章 消えない傷


《アスランside》

「…この人たち仲良しだったのにどうして痛いこと…」

「アッシュ、いつか話したと思うがセックスとは愛の営みだ。もちろん妊娠を目的に行われることもあるが、快感と共に愛を伝える手段でもあるのだよ」


「……セックスは、痛いよ…」

「それはアッシュがまだ本当のセックスを知らないからさ」


その時、テレビから一際大きな声があがった。

Oh…yes…yes!Ahh…!


体を打ちつけ肌がぶつかる音、粘膜が擦れ合うようなぐちゅぐちゅという音…性器が何度も何度も…。


「…っ、う…わ」

「…男女のセックスを見るのは初めてだろう?見てわかる通り、女性器には男性器を挿れる専用の穴があるのだ…アッシュが挿れられてきた穴とは違う」

「……え?」

「だからお前が感じてきたような痛みを…ユウコが感じることはない」



「…ど…どうして…ユウコ?」

いきなりユウコの名前を出したディノは僕の後ろに回り体を抱き締めた。ベッドが軋む。


「アッシュ、想像してみなさい…」

そう耳元で囁きながら僕のズボンに手を伸ばし服の上から触ってきた。


「…っん、や」



「これをユウコの中に挿れてひとつになっているところを…」



僕のをユウコに…?


「痛いことなどではない、これは愛の営みだ…愛するユウコにお前の大きすぎる愛を余すことなく伝えられる…その体の中に、直接ね」



ディノの言うことはいつも分からない。

「…ユウコとセックスをすれば、もっと深いところであの子と繋がることができるよ」

今日は僕になにを言わせたいんだろう…。
でも、きっと僕がディノの望むことを口にすることはない。

「…僕たちはセックスなんてしないよ」

「……」

「……絶対に、しない」


僕たちの人生をめちゃくちゃにしたセックスなんか、何を言われたって…絶対にしない。

そんなことをしなくたって僕たちは繋がっているはず。そんなことをしなくたって…僕はいつか、いつか…自由になれた時…ユウコに自分の言葉で伝えるんだ

大好きだよ、
愛してる、って。


するとディノはふっと笑ってベッドから降りドアに手を掛けた。


「反応も見せないとはね。思っていたよりも強情だが…想定内だ。…では後ほど、楽しみにしているよ」
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