ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
《アスランside》
ユウコが部屋を出てディノと2人になった。
今日何があるのかどこに行くのか、ユウコが洗面所に行っている間に少し探りを入れたけど、ディノは核心的なことには何も答えてくれなかった。
「抱き締めたユウコ越しに随分と鋭い目を寄越したものだ」
「見せておきたいものってなに?」
「…ッフ、急かしおって」
テレビに近付いて、ずっと手に持っていたディスクをセットした。キュルキュルというディスクが回る音が聞こえる。
「これからお前には勉強をしてもらう」
「…勉強?」
「そうだ」
ピッとリモコンを操作すると、画面にどこかの寝室が映った。
「映画を観るの?」
「……」
少しすると、横から男女がフレームインしてセリフもなく突然唇を合わせた。
「…っ!?」
2人のキスはどんどん深くなって、お互いの服に手が掛かる。1枚1枚、ベッドの下にパサリと落ちていく。
「…なに、これ」
「言ったはずだよ、勉強だと」
「この映画から何を学ぶの…?」
「レディの体の扱い方、並びにセックスの手順を頭に入れておきなさい」
「……セ…ッ…え?」
ディノはなにを言っているんだ…?
冗談を言っているように見えないのが怖い。
男の人が体にキスをしたり触れたりすると女の人からはセクシーな吐息や声が漏れる。
この流れ知ってる、僕もよく客にされるから…ってことはこの映像は本当にセックスの映像…?
どうしてこんなもの…
「…ッ」
「…レディとのセックスは丁寧にペッティングを施さないといけないそうだ。それでも初めてのセックスには、相当な痛みを伴うらしいがね」
「……ペッティング?」
「男性器挿入以外の全ての触れ合いだよ。全身へのキスはもちろん、舌や唇、指で性器への愛撫…ソコを充分に潤して自分の性器を受け入れてもらえる状態に整えるのさ。まあ私には女性との性行為など経験のないことだが」
「……」
「ほら、見てごらん」
な、なにしてるんだ…?
女の人の股を舐めながら指を…。
「…そろそろ、だろうな」
ディノがそう言ったかと思うと、男の人は女の人の股に性器を擦り付けた。
自分がソレを挿れられる時のことが頭に浮かんだ。